令和元年度

宣言

 平成5年6月に衆参両院で「地方分権の推進に関する決議」がなされ、地方分権が叫ばれるようになってから、既に四半世紀が過ぎた。

 この間、国と地方の関係が上下・主従から対等・協力に変わり、地方に対する規制緩和や権限移譲が実施された。さらに、個々の自治体から制度改正の提案を広く募集する「提案募集方式」が導入され、国と地方の垣根が低くなりつつある。今後は、人口の多寡だけによらない財源移譲がなされるべきである。

 こうした国を挙げて地方分権を推進している状況の中、総務省の「自治体戦略2040構想研究会」がまとめた報告書に、市町村を超えた「圏域」行政の法制化や標準化などの新たな圏域行政の推進が盛り込まれた。

 新たな圏域行政の推進は、都市部を中心とした行政の集約化・効率化につながることが強く懸念され、周縁部の町村を衰退に追い込む危険性をはらんでいる。まさに、国の主導による実質的な「令和の大合併」につながり、中心市以外の住民が切り捨てられかねない。地方分権時代において、国が一定の枠組みを決めて、自治体を強制的に圏域行政に追い込む仕組みは絶対に作るべきではない。

 我々群馬県の町村議会は、議会が住民自治の根幹であるという誇りを胸に、人口減少や議会議員の成り手不足等の問題に果敢に取り組み、「住民福祉の向上」という究極の目的を現実に導くため、全力で邁進することをここに誓う。

 以上、宣言する。

  令和2年2月19日

群馬県町村議会議長会定期総会

 

決議

 町村は、自主財源の乏しい中、自ら徹底した行財政改革を断行し、少子・高齢社会への対応、生活関連社会資本の整備、教育・文化の振興、農林業の振興、資源循環型社会の構築、国土保全などの諸課題に積極的に取り組んでいるが、依然として厳しい財政状況が続いている。

 一方、一部の町村においては、議員の成り手不足の問題があり、より幅広い層の住民が議員として参画することが求められている。そのためには、町村議会が自主的な取り組みを積極的に展開し、議会の魅力を高め、住民の信頼を得るとともに、議員に立候補し活躍できる環境を整えることが必要である。

 こうした中、町村及び町村議会が、自主性を発揮し、地方創生を積極的に進めていくには制度面及び財政面の基盤を強化することが必要不可欠である。

 よって、政府及び国会議員各位におかれては下記事項の実現を図るよう、強く要請する。

一.令和元年台風第19号により被災した町村が早期に復旧・復興できるよう、国庫補助金や特別交付税をはじめとした地方財政措置による十分な財政支援及び被災者の生活再建に向けた十分な支援を引き続き講じるとともに、激甚化・広域化する自然災害に対する全国的な防災・減災対策を強化すること。

一.CSF(豚熱)については、関係省庁による連携の下、総合的な対策の強化及び対策に係る財源を確保し、風評被害対策に万全を期すこと。また、現在海外で感染が拡大しているASF(アフリカ豚熱)の国内侵入を防止するため、検疫体制や消毒措置等の水際対策の徹底を図ること。

一.地方の共有税と言える地方交付税の財源保障機能及び財源調整機能に則り、地方財政計画に町村の財政需要を適切に反映させ、地方交付税の総額を確保すること。さらに、大幅な地方の財源不足が続いていることから、地方交付税の法定率を引き上げること。

一.東京一極集中を是正するため、企業・大学・政府機関等の地方移転により地方への新しいひとの流れをつくるとともに、都市から地方への移住・交流を推進するため、若者を中心としたUIJターン対策の抜本的強化、女性や高齢者等の活躍の推進、国民の関心を惹きつける効果的・戦略的な情報発信などの取り組みを積極的に推進すること。

一.地方議会からの意見書については、法律により関係行政庁等の誠実回答の義務付けを明文化すること。

一.地方議会議員が地方議会に課せられている団体意思の決定及び執行機関の監視の使命を全うできるよう、日常的に住民の声を広く聴取し、議案審議、政策立案、行財政の監視及び調査研究等に努める旨を地方自治法に規定すること。

一.国民の幅広い政治参加や地方議会における多様で有為な人材確保の観点から、厚生年金への地方議会議員の加入のための法整備を早急に実現すること。

 以上、決議する。

  令和2年2月19日

群馬県町村議会議長会定期総会