平成22年度本会定期総会における宣言及び決議

宣言

 政府の地方行財政検討会議において、「住民自治の強化」がテーマとなっている。その背景には、基礎自治体の規模拡大等による行政と住民の関係の希薄化や所在不明高齢者問題に象徴される「無縁社会」の進展がある。

 地方自治は、本来、住民が自己の属する自治体の政治行政の善悪に利害を敏感に感じる範囲で行うべきもので、あまり広大な地域や大人口の下では、実行し難いものである。属する社会のことを共に考え合うところから、同一自治体の住民としての責任、連帯意識や協力の心が育ち、名実共に自分達が地域社会の主人公であると常に意識するようになる。そして、そのことが延いては国家に対する国民の主権意識や連帯意識を醸成することになる。

 住民自治において優れている町村は、厳しい財政状況下にはあるが、住民が最も生き甲斐を感ずるとされている公益に貢献する出番や住民と行政、住民と住民が協力し合う場面が都市部に比べて格段に多く、「豊縁社会」を維持している。さらに、経済的な豊かさと人の幸福度には相関関係がないことに多くの国民が気付き始めており、今や町村は、国民の農や食への関心の高まりの中で、その自然環境、景観、地域文化、安心安全な農産物、そして、何ものにも代え難い住民の「暖かい人情」により、ブランド化しつつある。

 我々町村長は、住民と行政の絆、住民と住民の絆を重視した「小さいから輝く理想の自治体」としての施策を展開するとともに、町村相互の連携を一層強固なものとし、町村のブランド化をさらに進めることをここに誓う。

 以上、宣言する。

  平成23年2月18日

群馬県町村会定期総会

決議

 国政は、現場に生きる多くの国民の意思と乖離した政策や約束反故の子ども手当に係る地方負担により、国民及び地方自治体の信頼が低下している。

 とりわけ、我々は、政府のTPP(環太平洋経済連携協定)への参加推進の動きについては全国の農山漁村のみならず我が国の将来に深刻な影響を及ぼすものと大いに憂慮している。このことは、過去の農林水産物はじめ繊維製品や木工家具等の輸入促進政策により、地方の地場産業を急激に衰退させ過疎化を進行させたこと及び食料自給率を大幅に低下させたことが証明している。

 政府は、「開国か、鎖国か」といったマスコミの短絡的な議論や一部の特定企業の利益を優先しTPPの貿易効果のみに目を向けているが、国民生活や雇用、さらには国土保全・水源涵養といった農山村が果たす公益的機能への影響及び過去の教訓を認識しておらず、国民の不安は強まるばかりである。我々は、農業の営みにより国民の命と国土を支えている多くの農業者の意見を重視すべきであると訴えるとともに、政府及び国会議員各位に対しTPP参加反対を明確に表明する。

 町村の多くは農山村地域にあり、これまでも食料の安定供給や水資源の涵養、地球温暖化対策に資する森林の整備・保全といった公益的機能に加え、地域の伝統・文化の継承など重要な役割を果たしてきた。我々は、TPPをはじめ町村及び我が国にとっての重要問題解決のため、政府及び国会議員各位に対し下記事項の実現を強く求める。

一.国民の命と国土を支えている全国の農業者の意見を重視し、TPPへは参加しないこと。

一.平成23年度以降の子ども手当については、地方に負担を転嫁することなく、事務費も含め、全額国費負担とすること。

一.八ッ場ダムについては、「地域主権の理念」を自己否定することなく地元住民及び流域都県の意思を最重視し、早期に工事を完成させること。

一.住民自治及び団体自治充実の前提となる地方交付税の交付税率を引き上げるとともに、三位一体改革で大幅に削減された地方交付税を復元・増額すること。

一.一括交付金については、地方の自主性を高め、財政力の弱い自治体に配慮した制度設計とすること。

一.地球温暖化対策税については、二酸化炭素吸収源として重要な機能を有する森林の整備・保全等に果たす町村の役割を踏まえ、一定の地方税財源化をはかること。

一.道州制については、それに伴う基礎自治体の規模拡大により行政と住民の関係の希薄化及び無縁社会化を急速に促進させることが明白であり、導入しないこと。

一.国会議員の定数を半減すること。少なくとも民主党政権公約である「参議院の定数40程度削減、衆議院の比例代表定数80削減」を早期に実現すること。

 以上、決議する。

  平成23年2月18日

群馬県町村会定期総会

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