平成21年度本会定期総会における宣言及び決議

宣言

 今や、町村における現状は、少子高齢化、過疎化が進行し、また先の金融破綻による未曾有の経済不況の中、その景気低迷による社会環境の閉塞感とともに生活基盤の充足感さえも薄らいでいる。さらに地域経済の活力低下は雇用情勢の悪化にもつながり、都市部と農山村地域での社会的格差も拡大の傾向にあって、一層厳しい状況を呈している。

 特に、農業就労者の高齢化及び後継者問題は顕著であり、我が国の食料事情にかかわる重要問題として大いに危惧されている。

 「農は国家の礎」と称せられるように、限りある天賦の蓄えをいかに有効利用し、子々孫々に残せるかが大きな課題であり、今や国家として考察する節目にあることは自明の理である。

 政権交代による民主党政権は、「地域主権」を始めとして、国と地方の対等・協力関係の下に議論する「国と地方の協議の場」については、地方行政に山積する諸問題の解決の足掛かりとして大いに期待するものであり、その協議においては、町村行財政等の実態を見据え、町村長の意見を十分に聞いた上で、国の施策に反映する協議の場とされることを望むものである。

 町村は山河の自然と共に共存し、その地域の人々と社会の紐帯を共にし、農地や森林の持つ公益的機能としての、国土保全、水源涵養、食料供給等を担い、国民生活の基盤を維持する重要な役割を果たしてきている。

 我々町村長は、今後とも、自治体相互間の連携を強固なものとし、豊かな地域社会の実現をめざし、新たな発想と地域の特性を活かした施策を展開しながら、直面する行政の諸課題に対して、渾身の努力と総意を結集し邁進することをここに誓うものである。

 以上、宣言する。

  平成22年2月12日

群馬県町村会定期総会

決議

 昨年、長期に亘った自民党政権は衆議院選挙の敗北を喫し、民主党連立政権の発足とともに歴史的政権交代の幕開けとなった。

 政権公約を墨守する民主党政権下において、無駄な公共事業としての八ッ場ダム建設中止は、再度地元住民が翻弄される事態となり困惑の極みである。

 また、景気低迷による社会情況は一向に回復の兆しが不透明のままで、雇用情勢の悪化とともに住民生活における不安感は払拭されていない。

 そのような状況の中での福祉政策の拡充は社会的措置として評価されるところであるが、その財源の創出に難航し、結果として国債発行に依存せざるをえないことは、更なる国家の負債を次世代に転嫁し、政策としての「コンクリ-トから人へ」と提唱した理念とは何かに尽きる。また、社会保障を手厚くしても財源に問題を抱えている現状下では国家財政の将来への展望は拓けない。

 町村においても財政の逼迫・硬直化が如実であり、一段とその厳しさを増し、先行きの見えない状況ではあるが、さらなる自立性を高めることと行財政基盤の充実強化を図ることが最大の課題である。

 したがって、我々町村長は単なる一地方自治体の責任者に止まらず、日本社会の健全な在り方を念頭に地域社会の存続と発展を期する必要がある。国においては下記事項に全力を尽くされるよう要請する。

一 交付税率の引き上げとともに、三位一体改革で大幅に削減された地方交付税を復元・増額すること。

一 八ッ場ダム建設中止を撤回し、建設を継続するとともに、地元住民の意思に沿った政策を展開すること。

一 国家財政の健全化を図りつつ諸施策を展開し、子ども手当等において疲弊した地方への負担を強いることなく国費負担とすること。

一 国会議員の定数を半減すること。少なくとも民主党政権公約である「衆議院の比例代表定数80削減」を実現すること。

一 「一括交付金」の創設にあたっては、その総額が現行の地方交付税及び各種補助金の合計額を下回らないこと。

一 食料自給率の障壁となる輸入農産物自由化は、日本農業の衰退を招くことから関税撤廃を阻止すること。

 以上、決議する。

  平成22年2月12日

群馬県町村会定期総会

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