平成20年度本会定期総会における宣言及び決議

宣言

 いま町村は内外の大変革期に遭遇し、曾てない激動の嵐の中にある。

 わけても平成12年の地方分権一括法施行以後、権限受け皿論とともに俄に動き出した市町村合併推進の流れは、国家財政の立て直しと行政コスト削減という旗印のもとに曾て2,500余の町村を1,OOOに満たない数にまで消滅させるという大きな傷を残した。

 しかしながら、多くの労力とコストを費やし推し進めた市町村合併も地域社会にとって如何なるものであったか振り返れば、自治体内で新たな地域格差が生まれ、中山間地集落の疲弊化が進むばかりである。

 かかる状況下、国は更なる改革手段として道州制の導入並びに小規模町村の解消に向け新たに自治体再編案を示し地域社会を翻弄しようとしている。

 地方自治の本旨を全うするため身を削りながら自立の為の努力を重ねている我々はこの事態に直面し如何に対処すべきか、究極の選択を迫られていると認識せざるを得ない。

 我々は、日本の長い歴史が培った地域文化とふるさとの伝統の灯を守るため、住民が連帯し小さくとも未来に発展させようとするエネルギーこそ自治の姿であるとの信念のもと、強制合併につながる道州制には断固反対するとともに、全力でこの難局に立ち向かうことをここに誓う。

 以上、宣言する。

  平成21年2月12日

群馬県町村会定期総会

決議

 米国金融業界の相次ぐ破綻などにより、いま世界規模での経済恐慌に陥っている中、我が国は今こそ国民生活の安全確保という国家としての使命を如何に果たすかが課題となっている。

 一方、国民の多くは半世紀以上に及ぶ平和を享受し、命を繋ぐことに難渋するという経験もない中で百年に一度とも言われる経済危機と混迷を深める社会を前に不安を募らせ、今まさに「人が生きる」という原点を見つめ直す必要に迫られている。

 我々は自治の本来のあるべき姿を求め、小なりと雖も主体性ある自治運営を行い地域社会の安定と住民福祉の向上を図らねばならず、これこそ国民に対する行政の本分であると認識するが、効率論、市場主義一辺倒が既に経済社会を牽引する力を喪った今、まさに地に足の着いた営みの集合体である町村が国民の信頼の拠り所として大きく期待されていると思料する。

 こうした背景の下、町村の活力回復は喫緊の課題であるが、多くのエネルギーを費やした市町村合併や地方交付税削減をはじめとする地方財政圧縮により疲弊に陥った町村を復興させるには国による地方への支援策を強化する外ない。

 我々は、町村が自主的施策を展開し得るよう、政府及び国会が下記事項に関し特段の措置を講じるよう強く要請する。

一.自主的・主体的な地域づくりのため安定的な財政運営が行えるよう、税源移譲を進め、偏在性のない地方税体系を構築すること。

一.地方交付税の持つ財源調整・財源保障機能を堅持するとともに、三位一体改革において削減された地方交付税総額を復元・増額すること。

一.過疎町村の主体的存続を可能とするための新たな過疎対策法を制定すること。

一.食料自給率向上を図り、農業所得補償制度の充実を期すこと。

 以上、決議する。

  平成21年2月12日

群馬県町村会定期総会

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