平成16年度本会定期総会における宣言及び決議

宣言

 今日、我が国は、国・地方を通ずる財政の逼迫を背景として、市場原理及び効率主義の下、市町村合併の推進、三位一体の改革、公共事業の民営化及び企業の統合に力が注がれているが、将来への展望は未だ開けていない。特に町村にあっては、市町村合併の賛否を巡り、今まで協力し合ってきた住民同士の確執や議会の混乱を招くという不幸な事態に陥っているところも少なくない。

 平成12年4月に施行された地方分権一括法により国と地方は対等な関係になった訳であるが、市町村合併の進め方において、また三位一体改革の地方六団体の共同案に対する一部の省庁や国会議員が行った姑息な抵抗等に見られるように、国による地方コントロールの構図は、依然根強く、権限移譲の進捗の鈍さとともに、真の地方自治確立の阻害要因となっている。

 そのような状況の中で、我々群馬県の町村においては、自立を選択した町村と合併を選択した町村に分かれるが、重要なことは、地域住民の自治意識である。地域住民が属する自治体の行政を共に考え合うところから、同一自治体の住民としての連帯意識や協力の心が育ち、名実共に自分達が地域社会の主人公であると常に意識するようになる。このことが延いては国家に対する連帯意識をも強め、「愛国心の醸成」を議論する必要のない健全な国家になると確信する。

 我々は、現在、一部の国会議員やマスコミの認識不足による地方交付税の削減に向けた見直し論に直面しているが、国土の均衡ある発展こそ健全な国家に繋がるとの理念の下、地方交付税のもつ財政調整機能及び財源保障機能の堅持について国民の理解を求めるとともに、地域住民が強い連帯意識や協力の心を持てる自治体の建設を目指し、その使命達成のため全力を尽くすことをここに誓う。

 以上、宣言する。

  平成17年2月17日

群馬県町村会定期総会

決議

 我が国は、第二次世界大戦の敗北により零からの出発にも拘わらず、国民性とも言うべき勤勉さと団結協調精神を発揮し経済大国として蘇った。正に二十世紀は「日本の世紀」であったとも言える。

 しかし、バブル経済の崩壊とともに国・地方を問わず財政環境は悪化の一途を辿り、様々な面で財政立て直しの為の改革が行われ、町村においては市町村合併という究極の選択を迫られ、民主主義の根幹である住民自治は瀕死に直面している。

 そもそも民主主義とは、住民の地域社会の構成員としての自覚と公共への義務の認識が備わって初めて機能するものであり、人口の集積が進む程、この条件が崩れることは既に立証されているにも拘らず、多くの町村は財政の窮乏を理由に非常に苦しい状況に追い込まれている。

 近代、地方制度の歴史は、第一次産業を中心に低い所得の中から子弟の養育にエネルギーを費やし、多くの人材の供給源の役割を果たすと共に、文化国家の屋台骨を担って来た。

 地方交付税制度は、そうした地方の存在価値を理解し財源保障と財政調整機能を付与すべく制度化されたものであり、都市と田舎を相互に連携・補完させ、国家としての健全性を維持して来たにも拘わらず、国は、財政の逼迫を理由に、交付税削減のための制度見直しを進め、延いては小規模町村の解消を図ろうとしている。

 我々は、斯かる状況を「国家の危機に繋がる事態」と憂慮するものであり、断じて町村の機能の弱体化を招いてはならず、下記事項を今後の活動方針として全力を挙げる。

 また、国難の克服には、国家を指導する立場にある者が自ら範を垂れる以外に道はなく、まず隗より始められることを切に求める。

1.地方交付税制度は財政力の脆弱な町村が存立するために不可欠な制度であるとともに、健全な国家存立の基盤の確保という崇高な使命を持つ制度として、この堅持及び充実強化を図ること。

2.平成の大合併により激減を余儀なくされた町村であるが、理念なき更なる合併の推進は断固阻止すること。

3.課税客体が乏しい町村においては、「税源移譲」ではなく、「財源移譲」を行うこと。

4.国会議員の定数を速やかに半減すること。

5.国民の国政に対する不信の要因となっている衆議院議員選挙の選挙区及び比例区の並立制を廃止すること。

6.都道府県議会議員の法定数を半減すること。

 以上、決議する。

   平成17年2月17日

群馬県町村会定期総会

一覧へ戻る