宣言
我が国は、バブル崩壊の傷と低迷する経済の影が様々な分野に疲弊感を募らせ今なお混迷から抜け出せずにいる。「改革なくして成長なし」の掛け声と共に、構造改革の一環に位置付けられた市町村合併推進の動きは、多様な特性を持つ地域社会の自治権を減少させ、我々町村長に曾てない重大な選択と決断を迫っている。
自立を目指す町村、合併により新生自治体に期待を寄せる町村と、群馬県町村会を構成する町村もまた大きな変革のうねりの中にある。
わけても、小規模町村が権限縮小と財政困窮の予兆を感じながら前途に待ち構える困難を覚悟しつつ、自立の道を目指す日々が苦悩に満ちたものであることは疑うべくもない。
昨秋の第27次地方制度調査会答申の後、政府は過年度来掲げている市町村再編の数値目標千を目指し合併の更なる推進を打ち出しているが、多様性という豊かさの指標とも言うべき個性ある多くの町村を統合し、その画一化を目指しているに外ならない。
「国が目指す日本の地域社会とは何か」、「地域社会運営のプロとしての我々町村長の描く町や村の姿とは如何なるものであったか」、まさに我々は歴史的決断のときを迎えたと認識するものである。
翻って、国民に対し自ら範を垂れるべき国会における代表者は、如何なる形でこの変革の荒波を乗り越えるための痛みを自らに課そうとしているのか。今こそ国民に示すべきである。
我々は、町村の困難と挫折の長い歴史の中で多くを学んで来た。
町村とは、「その地域の歴史や文化を共有する住民が『理想の人間社会の構築』を目指し、互いが協力し支え合う舞台」である。そしてまた、その舞台で、それぞれの役を演じ切れる住民があってこそ真の自治体である。
我々は、人々が理想と地域社会での存在感を持ち、義務と責任を全うし得る社会こそ民主主義社会の真価と心得、激動する時代の流れに呑み込まれることなく未来に輝く町村という舞台の礎となることを、ここに誓う。
以上、宣言する。
平成16年2月20日
群馬県町村会定期総会
緊急決議
平成12年4月、地方分権一括法が施行され、国、都道府県、市町村が対等な立場になった筈であったが、それから4年の月日が経ち、地方財政は逼迫の一途を辿り、地方交付税、諸補助金による財政運営を余儀なくされている多くの町村は、旧来にも増して国の一挙手一投足に神経を奪われる事態に立ち至っている。
特に、元来自主税財源の乏しい中山間地域の町村では段階補正の削減に加え諸々の補助制度が打ち切られるなど、町村行政の役割と財政運営の在り方を根本から見直さざるを得ない段階にある。
一方、政府は、三位一体改革を提唱し、国と地方の税財源再編を謳い文句に議論を進めて来たが、当面の措置として具体化されたのは平成16年度予算で地方への補助金1兆円の削減で、その内容も数字合わせに終始するという足跡だけを遺すこととなった。
斯かる情況の下で、「痛みを伴う改革」を国民に求め、健全な国家再生のための国民の協調団結が期待出来ようか。
町村では既に、議会議員及び職員の定数削減等による行政コストの抑制を図り、更には合併による町村の消滅という大きな痛みを背負いながら自治運営に努めているところである。
本会が訴え続ける「政の任に当たる者、社会のリーダーたる者は自ら範を示せ」という価値観は、今まさに具体的な形とすべきであり、実現可能な理想を掲げることこそ改革の第一歩であると確信する。
群馬県町村会は、総意をもって国権の最高機関の構成員である国会議員諸氏の英断により下記事項が実現されるよう強く要請する。
記
1.財政的効率論のみで国の末梢神経とも言うべき町村切り捨ての愚を犯さぬこと。
2.国会議員の定数半減について速やかに実行すること。
3.国民の国政に対する不信の要因となっている衆議院議員選挙に伴う選挙区と比例区への並立制を廃止すること。
4.都道府県議会議員の法定数を半減すること。
5.国家公務員の天下り人事については、氏名、年齢、勤務先、職名、報酬月額及び年収総額の全てについて公開すること。
以上、決議する。
平成16年2月20日
群馬県町村会定期総会