近年の群馬県の統計調査結果によると、群馬県においては、県外に進学した県内高校出身者のうち県内に就職する若者は3割未満の状況が続いている。さらに、10代後半から20代前半の女性の転出超過も拡大しており、若年人口の減少が更なる少子化を招く負のスパイラルが生じている。
群馬県町村会は、令和2年2月14日の午前中に開催した定期総会において、町村相互の連携を一層強固なものとし、町村の子供たちが我が町・我が村に「愛着」と「誇り」を持てる町づくり・村づくりに全力で邁進すること宣言した。
そして、その日の午後、若者の定住促進をテーマとして上毛新聞社と共催で「ぐんま愛 ここに生きる」総括講演会・交流会を前橋市のヤマダグリーンドーム前橋で開催した。
正午から開催したシンポジウムの交流会には、県、市町村、キャンペーン協賛企業の関係者が集い、人口減少対策、若者定住に向け力の結集を誓った。
主催者を代表して、茂原荘一町村会長(甘楽町長)が「住む地域に誇りを持つことで、子どもたちの生き生きとした生活を送ることができる。若者のIターン、Uターンを推進するため、行政や企業が一体となり、地域の個性を活かした独自の取組を行い必要がある」と、関係機関や企業の協力を呼び掛けた。
主催者挨拶を行う茂原町村会長
来賓の友松寛県企画部長は、「県民の幸福度の向上を図るとともに、若者に本県の暮らしや仕事の魅力を感じてもらい、住み続けたいと思える群馬県を目指している。東京への一極集中への是正、地方の人手不足解消に向け、移住支援金事業を進めているので、是非活用してほしい」と述べた。
後援の群馬県市長会からは、横山公一沼田市長が「国の第2期まち・ひと・しごと創生総合戦略により地方が活性化することに期待するとともに、県や町村会と協力し、若者や子育て世代向けの政策を充実させ、人口減少や少子高齢化の課題を乗り越えていきたい」と挨拶した。
上毛新聞社の内山充社長は「昨年1年間に減少した日本人口は鳥取県の全人口に匹敵する51万人であった。より良い群馬をつくるために力を合わせていきましょう」と挨拶後、乾杯した。
午後1時からの基調講演では、地方自治総合研究所主任研究員の今井照氏が「分権改革から20年―地方自治の現在」と題して講演を行い、「人口が少ない地域では移住や雇用創出の成果が大きいが、課題が一度では解決しない。自治体の役割である日々のまちづくりこそ重要であり、住民の豊かな生活を実現することこそ、地域ブランドの確立にもつながる。
また、20年前の地方分権改革で自治体の権限が広がったはずであるが、最近は国が法律に基づき市町村へ策定を求める計画が相当数あり、自治体の負担増になっていること、さらに、それが統制につながることを懸念している。地域が多様であるように、自治体の取組みや制度も違って当たり前である。地方自治を画一化するような国の姿勢には問題がある」と市町村長や応募した一般県民の受講者に提言した。