平成24年度本会定期総会における宣言及び決議

宣言

 地方自治は、本来、住民が自己の属する自治体の政治行政の善悪や利害を敏感に感じる範囲で行うべきもので、あまり広大な地域や大人口の下では、実行し難いものである。属する社会のことを共に考え合うところから、同一自治体の住民としての責任、連帯意識や協力の心が育ち、名実共に自分達が地域社会の主人公であると常に意識するようになる。そして、そのことが住民の自治体に対する愛着や誇り、さらに、住民の幸福感を醸成することになる。

 住民自治において優れている本県の町村は、厳しい財政状況下にはあるが、住民がやり甲斐を実感するとされている公益に貢献する出番や住民と行政、住民と住民が協力し合う場面が都市部に比べて格段に多く、「豊縁社会」を維持している。さらに、経済的な豊かさと人の幸福度には相関関係がないことに多くの国民が気付き始め、今や本県の町村は、都市住民の田舎暮らしへのあこがれや農業や食への関心の高まりの中で、その自然環境、景観、地域文化、安心安全で高品質な農産物、そして、何ものにも代え難い住民の「あたたかい人情」により、ブランド化が進んでいる。

 しかしながら、基礎自治体の規模を無理やり大きくし、町村の住民自治を壊す効率一辺倒の道州制が、先の衆議院議員選挙における主要政党のマニフェストになり、その実現へ向けての足音が強まってきた。東日本大震災の被災市町村や被災県が直面している長く厳しい「復興への闘い」への支援を最優先すべきときに、巨額のコストを掛け、地方自治制度を根底から変えるような「上からの道州制」を進める場合ではない。

 このような状況の中で、我々群馬県の町村長は、町村相互の連携を一層強固なものとし、道州制の導入に反対するとともに、小さいからこそ輝く理想の自治体としての施策を展開し、「群馬の町村ブランド」の質をさらに高めることをここに誓う。

 以上、宣言する。

  平成25年2月13日

群馬県町村会定期総会

決議

 本県町村の多くは、農山村地域にあり、これまでも国土や自然環境の保全、食料の安定供給、水資源の涵養、地球温暖化対策に資する森林の整備等に加え、地域の伝統・文化の継承など極めて重要な役割を果たしてきた。このような公益的機能は、町村で暮らす人々が、その地域に愛着と誇りを持ち、その生活を続けることにより維持されるものである。

しかしながら、町村を取り巻く環境は、低迷を続ける経済情勢や急速な少子高齢化への対応等による財政難で厳しい状況となっている。また、原則として例外なく関税や規制を撤廃するTPPに関する交渉の帰趨によっては、一層深刻な事態になることが懸念されている。さらに、昨年暮れの衆議院議員選挙において主要政党がマニフェストに掲げた道州制導入に向けての足音が近付いてきた。

 人為的に道州という単位を作り、事務処理能力を基準に市町村を再編して基礎自治体を作っても、決して住民の愛着や誇りの対象とはならない。住民が愛着や誇りを感じない地域に、責任ある「自治」は生まれない。道州制は、画一的な事務処理団体を作り出すだけであり、各町村で営々と育まれてきた多様な生活や自治を壊すものであると確信する。

 このような状況の中で、我々群馬県の町村長は、直面する困難な課題に積極果敢に取組み、地域特性や地域資源を活かした施策を展開しながら、愛着と誇り、そして個性溢れる町村づくりに邁進する決意である。我が国の多様な地域社会が健全に存続し、発展するため、政府及び国会議員各位におかれては、下記事項の実現について全力を尽くされるよう要請する。

一.東日本大震災の被災市町村や被災県が直面している長く厳しい「復興への闘い」への支援を最優先し、道州制導入の検討を凍結すること。

一.地域経済・社会の崩壊をまねくTPPへは参加しないこと。

一.住民自治及び団体自治充実の前提となる地方交付税を増額するとともに、財源調整・財源保障の両機能を堅持すること。

一.自動車取得税及び自動車重量税を見直す際は、市町村の代替財源の確保を前提とすること。

一.国民皆保険を堅持するため、都道府県を軸とした保険者の再編・統合を推進し、医療保険制度の一本化をはかること。

一.八ッ場ダムの工事を早期に完成させること。

一.国会議員の定数を半減するとともに、違憲状態にある一票の格差を早期に是正すること。

 以上、決議する。

  平成25年2月13日

群馬県町村会定期総会

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