広報「群馬自治」連載 おすすめの一冊 第7回目 平成13年4月号

 新・地方自治法が施行されて1年が経過しました。機関委任事務の廃止により法制上は国、県、市町村の政府間関係が大変革し、地方自治は「条例の時代」になった訳です。 

しかし、依然として条例準則等が、国政府から県政府を通じて市町村政府へ通知され、市町村政府がそれを受け入れるという不自然な関係が続いています。

 また、各種補助金や合併誘導特別交付税措置による市町村のコントロールも続いており、受益と負担の関係が不明確になることによる多くの弊害も継続しています。

 この際、地方財政の緊迫化や待ち構えている自治体の「退職手当危機」の中で、「条例の時代」にふさわしい行政組織のあり方、住民自治や財政健全化につなげるための能動的情報公開、二元代表としての議会、或いは税財源の具体的移譲方法等を研究し、試行錯誤して行こうではありませんか。


「自治体は変わるか」

松下圭一著 岩波新書刊

 今回の「おすすめの一冊」は、【「自治体は変わるか」松下圭一著 岩波新書刊】です。

 私が、松下先生の著作物に接したのは、この本が初めてでしたが、数ページ読んだだけで身体に衝撃が走るとともに、後頭部を殴られたような気がしました。今まで先生の著作物を読まなかった不道徳さを恥入る次第です。

 本書で特に強調されているのは、自治体における法務の習熟と法務室の設置です。国に国会や内閣の法制局、各国際機構に法務委員会があるように、自治体にもローカル・ガバメントとして、長・議会のもとでそれぞれの法務室の設置が急務だと述べています。

 「住民の議会」も強調しています。各自治体議会は「議会基本条例」をつくり、「住民の議会」となるよう各議会がそれぞれ自由な工夫を行い、これまでの「標準会議規則」や自治体議会解説書などとはサヨナラすべきと説いています。

 さらに、今日の財政緊迫・財務責任を前にシビル・ミニマム(最低限の公共保障)の再確認や団塊の世代による急速な人件費膨張、退職金危機に備えるための積立金の増額も急務であるなど、自治体が早急に取り組むべき実践的な道筋が提示されています。

 本書は、私のバイブルとなりました。「ダマされた!」と思ってご一読ください。(U)

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