広報「群馬自治」連載 おすすめの一冊 第6回目 平成13年1月号

 21世紀という新たな時代の黎明を迎えましたが、私達の原点はやはり縄文の昔、今なお進化の途中といったところでしょうか。

 それにしても今日の私たちの世界を縄文の人たちが見たら何と云うでしょう。「森林に育まれ自然と共生してきたはずの人間が、自然から遠ざかる道を突き進んでしまっている」と言っているかも知れません。

 「豊かさの中で便利に囲まれ、何不自由なく生きているように見えるけれど、なんとなく寂しそう」そんな風に映るかもしれません。

 私たちの群馬県は、何処を掘っても「縄文遺跡」の出てくるところ。私たちは皆縄文人の末裔。行き詰まったら原点に戻れ。少し縄文人のことを勉強してみようではありませんか。


「乱世の縄文」

中村忠之著  文化評論出版社刊

 今回の「おすすめの一冊」は【「乱世の縄文」中村忠之著 文化評論出版社刊】です。著者によれば、縄文時代はイノヴェーションの連発の時代だと言います。狩猟、野生植物採取を中心とする生活の中に、土器文化を生み三内丸山遺跡に見られるような集落形成とも言うべき共同社会の構築がありました。その共同社会で特筆されるべきは自然を神と崇める謙虚な精神を育み、「和」を機軸とした略奪や殺戮とは無縁の世界が広がっていたというのです。そのような社会であっても自然の脅威は人々の生存を脅かし翻弄していたことは疑うべくもありません。困難脱出のための刷新、それが縄文という時代でした。乱世の縄文の所以です。

 時代は下り稲作文化が伝来しました。人々は耕作地を持ち定住生活をし、地域社会のルールが必要となりました。治世の弥生といわれる時代の始まりです。弥生時代は管理社会で今日の社会と極めて類似していると言われます。そして、今の世を生きる私たちは、縄文人と弥生人の混血、所謂ハイブリッド人間の末裔ということになるわけです。今までは弥生資質で対応できた時代でしたが、時代が激しく変わろうとしている今、縄文資質に見られる独創性が今日程求められる時代はないに違いありません。「眠れる縄文資質に磨きを掛け新たな世紀を切り拓いてほしい」という著者の願いが感じられます。「歴史に学ぶ」がキーワード。(N)

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