広報「群馬自治」連載 おすすめの一冊 第4回目 平成12年7月号
 21世紀も残すところあと6カ月となりました。世紀が変われば世の中が変わるというものでもないでしょうが、今年もさまざまな予測もできないことが既にたくさん起きました。

 群馬県人にとっての大事件は小渕総理が突然の病魔に倒れ帰らぬ人となられたことですが、そのほかにも有珠山の噴火や青少年による凶悪事件など、まさか!と思われることが立て続けに起きました。

 高度に発達した文明社会を迎えても、未来を的確に予測することは私たちにとって最も困難なことであります。人間の力ではどうにもならない壁に突き当たった時、私たちの祖先は神の存在を意識してきたのかもしれません。

 しかし私たちは物質文明の謳歌(おうか)と地球環境破壊という矛盾の世界に突入し、人々の「心の荒廃を招く」という最大の危機の時代を迎えてしまいました。


「何が起きてもびっくりしない −人間総括−」

新津靖著  新津靖先生著作刊行会刊

 今回の「おすすめの一冊」は【『何が起きてもびっくりしない −人間総括− 新津靖著 新津靖先生著作刊行会刊】です。

 新津さんは大阪大学に日本で初めて環境工学科を創った環境学者ですが、群馬県とも関係の深い三洋電機の常勤顧問として活躍された方でもあります。『自然そして人間』や『環境からの発想』などの著作があることからも想像できますが、環境がもたらす人間への影響がテーマです。

 とは言うものの、中身は脳の進化、右脳・左脳の話あり、環境と人間時代別考察あり、人生談義あり、中東の宗教に関する解説あり、果ては二人のノーベル賞作家(川端康成と大江健三郎)の評論ありで、知らず知らずに本に引き込まれ考えさせられることになります。

 本文からエッセンスと思われる部分をご紹介します。「…最近の環境破壊を見て、人間は地球にとりついたガン細胞のように思うのです。ガンは母体を食い荒らした末、自分も一緒に死滅する暴走細胞ですが、あらためてアヤタ・ク
ニオの慢画を眺めて慄然(りつぜん)とするのです」。

 このアヤタ・クニオの漫画は世界漫画展で特別賞を受賞した『大いなる自殺』と題した作品で、本書に掲載されています。

 この本は書店での販売が行われておりませんが、ご参考までに連絡先を記します。(N)

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