おすすめの一冊 29

大人のための健康法
和田秀樹著  角川書店刊

 ここ数年、高齢者医療に関する様々な制度改革が行われ、その内容に戸惑う人も少なくないようですが、所得がなくなり医療費負担が嵩むとなれば不安を感じないわけには行きません。
 長寿大国の日本で、健康に老いることが課題になってしばらく経ちましたが、なかなか決め手は見つからないように思われます。
 2007年問題は視点を変えれば、一部の蓄えのある人を除いて社会的弱者が圧倒的に増大していくということでもあります。
 自己責任も競争原理も社会の安全システムの確立が前提だと思いますが、何事も自己防衛対策が必要な時代なのかも知れません。

 今回の「おすすめの一冊」は【「大人のための健康法」和田秀樹著・角川書店刊・724円+税】です。
 現代社会で人々に最も影響力を持っているのがマスコミであることは疑いの余地がありません。そのマスコミの代表格のテレビが人の健康にも大きな影響を与えるとのことです。

 一つ目は、『テレビというのは万人受けを狙っているので、本音を言わず、分かりやすくする為に「良いか悪いか、AかBか」といった二分割思考の押し付けを筆頭に、「うつ病」を助長する要素が多分に含まれており、間違った情報も少なくない。メディアからの悪影響を回避するにはメディア・リテラシーを身につけることが肝要』とのメディア対策。
 二つ目は、肉食、塩分、メタボリック・シンドロームなど食物摂取と健康との因果関係を考察しコレステロール、血糖値、高血圧についての正しい理解のすすめ。

 三つ目は、ストレス回避で平和な日々を。楽しい一人暮らしを逞しく。ピンピンコロリのすすめなど、和田式「長寿・健康法」を公開し、健康長寿の社会を願いつつも、医療の限界を憂う本音も聞こえます。
 曰く、「健康常識などコロコロ変わるものだし、まだ正解がない状態だ。これが絶対という考えに縛られたり、二分割思考に陥らず、心の状態が幸せで、検査データがほどほどにいい程度で、自分が幸せに生きられる自分流の健康法を求めるのが、ある程度確かな正解が出るまでの“大人の健康法”である」とのことですが、そこが難しいところ。
 私事ですが、テレビに向かって文句を言ったりして、家族の顰蹙を買うことの多い昨今、これが意外に「心の健康に良い」との記述を目にし空しさを感じつつも、久し振りに溜飲を下げてもらった一冊でした。(N)