おすすめの一冊 24

日本オリジナルへの旅−伝統技芸の現場を訪ねて−
呉善花著 日本教文社刊

 少しばかりの大気圏外飛行と無重力が体験できる「個人レベルの宇宙旅行」の企画が具体化しつつあると聞きました。現代の科学技術文明の発達は目覚ましく、小はナノテクノロジーから大は宇宙ステションの建設まで、目を見張るばかりですが、私たちが暮らす自然界とは別の世界のことのようにも思われます。
 ここ半世紀足らずの間に、日本の産業も自動車、家電、通信、工作機械、医療機器などハイテクを駆使した産業が脚光を浴びておりますが、日本の伝統技術や文化の素晴らしさを記した一冊の本に出会いました。

 今回の「おすすめの一冊」は【「日本オリジナルへの旅―伝統技芸の現場を訪ねて―」呉善花著・日本教文社刊・@千三百三十三円+税】です。
 日本の良さをよその国の人に教えられるということは「恥ずかしくもあり嬉しくもあり」といったところでしょうか。
 私たちは「物まね大国日本」という表現に何の抵抗もなく「そうかも知れない」と思ってしまうようなところがあるように思います。

 しかし実はそうではなかった。日本刀、陶芸、和菓子、寺社建築の技術そして着物、生け花、茶室など研ぎ澄まされた感性の表現など他の国には見られない日本独自の文化が満ち溢れていることに気づかされるとともに、自然への畏敬と融和が根底に常に流れていると言われます。
 副題は「伝統技芸の現場を訪ねて」となっておりますが、日本文化の源流を探っている日本オリジナルへの旅−伝統技芸の現場を訪ねて−呉善花著日本教文社刊といった印象を強くします。

 日本刀は本来の役割であるはずの武器としての機能性を超えて芸術的な美の追求があり、茶の道は人間の動作・立ち居振るまいに節度と品性を求め、生け花は四季おりおりの身近な花々を題材に清楚の内にも凛とした美しさを表現する工夫であり、和菓子ひとつにしても伝統とそれを受け継ぐための並々ならぬ努力と心配りの上に成り立っています。
 本書に紹介されている日本の誇るべき技芸の結晶も、需要と供給といった経済活動を前提としてはいるものの、その本質は市場性とか採算性といった次元とは異なる価値観の上に存在しているように思われます。
 「真の国際人になるには、先ず自分の国の文化や歴史を理解し、少なからず『誇り』を持っていることが大切である」と言われます。
 この本はそうした意味からも是非読んで頂きたい一冊です。(N)