おすすめの一冊 49

『 群馬・折々の散歩道
群馬信用保証協会刊

 東京都調布市にある味の素スタジアムでFC東京と対戦するザスパ草津を応援するため、久しぶりにJR八高線に乗ってみました。八高線は、高崎駅から藤岡市を通過した後、埼玉県の神川町、美里町、寄井町、小川町、ときがわ町、越生町及び毛呂山町の七町を通り、八王子に向かいます。雨上がりということもあり、車窓から見る田畑の緑や林の緑が目に沁み、どこか懐かしく美しい田園風景に惹かれ、とても癒されました。

 そんな折、本会事務所へ『群馬・折々の散歩道』(群馬県信用保証協会刊・非売品・同協会のホームページに全文掲載)が届きました。同協会が広報誌『保証月報』において連載されている県内の散歩コースを紹介する「折々の散歩道」について、連載開始から五十回分をまとめたものです。群馬デスティネーションキャンペーンに丁度タイミングが合いました。まえがきに「名所旧跡を巡る旅ばかりではなく、身近なちいさな旅の中にも、その土地ならではの歴史や風土、景観、人々の暮らしなどが凝縮されていること、て、歩く速度でなくては見えないものがたくさんあることを、改めて感じ取り、群馬県の魅力を再発見していただけたら幸いです。」とあります。

 県内35市町村の、県民にほとんど知られていない魅力的な散歩道が、美しい風景のイラストとともに、美しい文章で紹介されています。とりわけ筆者である新井さんの感動と喜びが滲み出ている場面が、郷愁を誘う農山村の風景に出合ったときです。おそらく地元の人では見慣れているがゆえに、或いはじっくりと時間を掛けて歩いたことがないために、その魅力に気付かない風景かもしれません。

 群馬デスティネーションキャンペーンは終わりましたが、同キャンペーンを一過性のものとせず今後につなげていくことが重要です。地域住民が、自ら観光素材を掘り起こし、情報発信することにより、地域に対する誇りや愛着が育まれ、地域の活力につながります。観光を重視する町村の観光素材として、特に重視すべきものは「農山村の景観」だと思います。耕作放棄地を作らないことをはじめ、景観の名脇役である火の見櫓、木造屋根付きのバス停、道祖神、棚田や秋に絵になる柿の木等をこれからも大事に維持していくことも重要なことであるということを八高線の美しい田園風景及び本書により確信しました。(U)