おすすめの一冊S

拒否できない日本−アメリカの日本改造が進んでいる−
関岡英之著 文春新書

 日本の常識は世界の非常識などと云われてから随分時が経ちましたが、今私たちの国は「世界の常識」という価値観の波に翻弄されながら漂流しているように思われます。司馬遼太郎の「日本の炉心が溶けてなくなる」という警鐘が実感として理解できそうな不幸に直面していると言うべきかも知れません。
 21世紀に入って既に5年目。時間だけが無情に流れて行く。自然界に根付いた草や木ならば実りを結び年輪を刻み確実に成長を確認することも出来ますが、人間は時間に身を委ねても成長は約束されません。
 そこには、自らを成長させるための知恵と工夫が必要なのです。

 今回の「おすすめの一冊」は【「拒否できない日本―アメリカの日本改造が進んでいる―」関岡英之著.文春新書.@700円+税】です。
今、日本中の自治体は市町村合併をはじめ改革の嵐の中にあります。そして国もまた構造改革、骨太方針を打ち出し改革の牽引に力を注いでいます。そんな中で多くの国民は将来の夢を描くことも見ることもなく 只管走り続けているようにも思われます。何が私たちをそうさせているのか。この本から"日本凋落のシナリオ"を見せられた思いが致します。

 金融と建築という二つの分野に精通する著者が日米間の近代の足跡を辿りながら国際規準という激流に翻弄される日本の現実を捉えます。
 国益第一に全勢力を注ぐ米国。1993年にクリントン大統領と宮沢総理との首脳会談で決まったといわれるアメリカ通商代表部が毎年出す「年次改革要望書」により日本の産業、経済、行政、司法まで、あらゆるものに注文を付け干渉するシステムが出来たと言われます。

 日米構造協議の意味、会計基準の国際的統一の目的、指摘される日本の国内体制の不備とは?商法の大改正、司法制度改革の真の狙い、そしてノーベル経済学賞受賞者が弄ぶ世界金など唖然とするばかりです。
 日本は独立国家、低迷中とは云え経済力もあり簡単には崩れないと思う国民の多い中、現実はアメリカ型への日本改造プログラムは着々と進んでおり、やがて競争と訴訟の社会が日本を覆う日が来ると言います。
 それでもなお著者は結びます。「日本人自身の未来のために、日本人自身の頭で考え、日本人同士意見をぶつけ合う。その千載一遇の機会が、ついに今めぐってきている」と。
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