おすすめの一冊R

王陽明と儒教―上巻―
井上新甫著 群馬社会福祉大学陽明学研究所

 礼儀、真心、勇気といった価値観は日本人の徳目でありますが、ハリウッド映画の「ラスト・サムライ」が脚光を浴びる中で、久しく日本人にも忘れられていた「武士道」が見直されるようになりました。
 もともとアメリカでは日本の武士について深い関心と高い評価の目で見ていた歴史があります。本県の倉渕村と縁の深い小栗上野介が万延元年に通商条約批准交換で渡米した際、「歩く姿、立ち居振る舞い、漂う品性」に詩人ホイットマンは「梵天の再来」と絶賛したとのことです。
 外国人でも興味や関心を示す武士道の神髄とは。
 日本人として、忘れた大切なものを取り戻す時期なのかも知れません。
 

 今回の「おすすめの一冊」は【「王陽明と儒教―上巻―」井上新甫著、群馬社会福祉大学陽明学研究所刊、@3,000円(税込み)】です。
 「武士道」を世界に伝えた功労者が新渡戸稲造博士であることは広く知られており、文庫本をお読みになった方も多いと思います。
 江戸時代に完成したと言われる「武士道」の骨格を成しているものは「儒教」でした。その集大成とも言うべき陽明学は幕末になり熊沢蕃山、佐久間象山、吉田松陰などの活躍により、幕末から明治維新にかけ時代を動かす武士の行動に強い影響を与えたと云われます。しかし、明治維新の原動力になったからと言って、革命思想と言う訳ではありません。

 その本質は「修己治人」の学問であり、自分を修め徳性を養い、人々を感化し、世の中を安らかに治めることであると言います。
 さらに根本には宇宙自然の創造変化、摂理に由来していると説きます。
 「陽明学に学ぶ人間学」が本書のテーマであり、江戸時代の日本人の礼儀や徳を重んじる文化も儒教、陽明学が広く町民や農民の間にまで浸透し、日本人共通の人間修養の学問として敷衍した為と言われます。

 「良知とは?、知行合一とは?」。新聞記者の経験をもつ著者が、人に伝え、理解してもらうことを念じて書かれた一冊に違いありません。
 3,000円の定価ですが上質の和紙を用い、古書を彷彿させる味わいの伝わってくる「座右」に置きたい冊子です。
 頒布部数も30冊限定とのことですが、ご希望の方は群馬県町村会事務局までご一報下さい。先着締め切りとさせていただきます。(N)