おすすめの一冊M

失われた日本語  失われた日本

林 秀彦 草思社刊

 「言葉の乱れは心の乱れ、言葉乱れて国滅ぶ」など言葉の持つ重要性は古くから言われておりますが、近ごろ書店で日本語に関する書物が多く見受けられるようになりました。若者がよく使う「省略語」やマスコミや役所の用語のなかに解りにくい「外国語」が多用されるなど、現代日本の用語に違和感を持つ人が多くなったという背景があるのかも知れません。
 曾てお正月の遊びの代表格であった「いろはかるた」や「小倉百人一首」もすっかり影を潜め、日常の中で日本語を学ぶ機会が少なくなりました。
 情報伝達手段やコミュニケーションの簡略化が「日本語の持つ奥深さ」を味わう余裕を消し去っているのかも知れません。国際化が進めば進む程日本語を学び、日本人であることの確認も必要のように思われます。

 今回の「おすすめの一冊」は【「失われた日本語 失われた日本」林 秀彦著・草思社刊・@千五百円+税】です。
 数ある日本語に関する書物の中から、この一冊を選んでみました。
 著者の林さんは、この「おすすめの一冊」の第一回目に紹介致しました「日本を捨てて 日本を知った」の著者でもあり、オーストラリア在住の「がんばれ日本」の応援団長といったところです。
 故郷を離れての生活ゆえに、現在の日本人の情況を憂うあまり、叫びにも似た記述も見られますが、的は外れておりません。
 読み進む内に日本語が様々な表情を持ち、言葉そのものが私たちの人生に大きく影響し、関わっていることに気付かれることと思います。
 「体は身を現す」といいますが言葉も人柄と一体であり、その人柄の集合体の質が社会の善し悪しに繋がっているのです。
 巻末に収められた東京医科歯科大学名誉教授の角田忠信博士との対談から日本人の脳と日本語の関係、日本人特有の左脳と右脳の機能の仕方についての認識を新たにさせられることと思います。
 「まごころ」という言葉の意味を本当に理解するにはどうしたら良いか。そして、その言葉の持つ崇高な価値を実感できる人が多くなれば、その分だけ日本と言う国の未来は輝きを増すに違いありません。
 炬燵で丸くなって読んでも楽しい一冊です。是非ご一読を。(N)