広報「群馬自治」連載 おすすめの一冊 第11回目 平成14年4月号

 野山が活気づく季節がやって来ました。また希望と不安とランドセルを背負った新入生を迎える時期になりました。この四月から学校は週休二日制。新たに増えた一日が「ゆとり」と共にに「自律の精神」を育む」のか、「質の低下」や「競争」が加速されるのか気になるところです。
 「学ぶ」ということを「知識の集積」という点で捉るならば、今世紀の終わり頃には「機械の知能の方が人間より優秀になり、これに対抗するには遺伝子操作で人間を高等生物にするか脳の機能を高めるICチップを脳に埋め込むしかない」と予測する学者もいます。機械が人間を超える時代とはどのような社会なのか興味をそそられる処でもありますが、現在の私たちの感性ではどうにもならない世界かも知れません。


「コンピュータが子供たちをダメにする」

クリフォード・ストール著. 倉骨彰訳. 草思社刊


 
今回の「おすすめの一冊」は【「コンピュータが子供たちをダメにする」クリフォード・ストール著. 倉骨彰訳. 草思社刊】です。
 既にアメリカでは児童世代からパソコン学習が取り入れられる傾向にあり、アメリカ追従の途を辿っている我が国においても遠からず小学生がパソコンやインターネットを使いこなす日が来るでしょう。
 本書は今日まさに国を挙げてIT化に取り組んでいる我々に対しIT先進国の科学者からの警告の書であります。それは未だ確立されていない飛び交う情報の質の管理、年々歳々進化を続けるコンピュータへの対応に要するコストの問題そして人間として基礎的な感性を磨き社会性を身に付けなければならない大事な成長過程で読書や作文から遠ざけ勉強への意欲を減退させることへの危惧であります。
 著者はコンピュータやインターネットを否定している訳ではありません。むしろ彼自身パソコンやIT機器に囲まれて仕事をし生計を立てているのですが、道具を道具として捉えることのできる個人として確立するまではマイナス要因が多すぎるとの指摘であります。
 いま日本では子供たちが屋外で歓声をあげる姿を見ることが極めて少なくなりました。余裕の出来た一日をファミコンに向かって過ごす時間に充てるのか、塾通いのスケジュールを増やすのか、「国の宝」の成長の日々が気にかかります。 (N)