大規模市町村合併を憂える   

群馬県上野村長 黒澤 丈 夫  

 昨今、中央に於いて唱えられている、市町村を合併して500位とか1000位に減少させよとの主張は、国民に身近かな自治体を総て市とする方向を指向するもので、その結果は、多数決原理で民意を決する我が制度の下では、国土の7割にも及ぶ中山間地域や離島等の住民から、自治の権限を大幅に奪って、市街地及びその周辺の住民に権限を集中させることとなる。この結論は、単に論理の赴く必然であるだけでなく、過去の合併等の結果が明白に教える所である。

 この様な憲法が認めた自治権を、広大な地域住民から奪うが如き主張を、自治体の財政論等から成す行為は、地方住民の人権に関わる大事を、次元の低い論拠で韜晦して押し通そうとする暴挙であるとして反論せざるを得ない。

 私は主張する。市町村の合併は、100パーセント住民の意志に任せ、地方分権等に絡ませて誘導したり強制すべきではないと。

 以上は、私の山村住民としての認識に基づく心の叫びであり、全国町村会長として、多くの町村住民を裏切る会長であってはならないとの真心の発露であり、更には大規模合併が、自治意識、国民意識を稀薄にして日本人の団結心を乏しくすると憂えるが故の訴えである。