公務員がコスト意識を強めるために

明和町長 斎 藤  憲     

 「お役所仕事」という言葉は、「遅い」「効率が悪い」という意味に使われている場合が多いが、公務に携わっている者にとっては、有難くない言葉である。
 これを改めようと国、県、市町村は行政改革を進めているが、思うように進んでいないと感じている国民が多いと思う。それは「改革断行」を掲げる小泉首相の人気の高さに現れている。
 私は首長になる前は民間企業で営業部門を担当しながら、自治体の議員を経験し、議員の立場から役場事務を眺めてきた。正直言って、民間企業と比べて大きな違和感を感じていた。
 その後、首長になって役場職員と民間企業社員の違いの大きさに改めて驚いた。全くと言ってよい程「コスト意識」がないのである。
 しかしよく考えてみると、無理もないのである。学校を卒業して、そのまま役場職員になる者がほとんどである。役場内では予算執行の上で「最小の経費で最大の効果を」と指導はしているが、結果は仲々そうはいかないのが現状である。予算を残さないで、上手に使うことに力点が置かれてきたのである。
 民間企業の場合、一つの仕事を実施する時には必ず収支計算書が頭に浮かぶのであるが、公務員の場合は効果だけが優先される。一般的にはそれで誰からも文句が出ないのである。
 経費面で考えるのは、予算内で出来るかどうかであり、予算を残しても最少の経費で済まそうという関心は極めて薄い。
 私は予算執行の心構えとして、「予算額に一割程度の金は自分が出している。という気持ちでやって欲しい」と常々職員に対して発言をしてきたが、その意識はまだ薄いのではないか。
 この傾向は、国及び県の場合でも恐らく同じであろう。
 しかし今後の低成長時代の中で税収増は、あまり期待出来ない。その上、住民サービスは質、量とも増える事が予想される。どうしても「費用と効果」について真剣に考えなくてはならないであろう。
 今迄も「公務員はコスト意識を持て」と何度となく言われてきたが、理屈では解っていても、実感がないに等しい状態である。
 民間企業は、収支のバランスがとれなくなれば人件費の削減に及ぶのである。自治体の仕事(行政)が民間企業とは違うことは勿論承知はしているが、公務員もこれからの状況を考えると、より強いコスト意識を持って業務に当たらなければならない。その訓練も必要である。その為に、各施設・事業毎にバランスシートを作成することにしたらどうかと考える。
 この場合、バランスシートをどう分析、そして評価をするかという点で行政評価制度問題もまた大切であり、その検討も急がなくてはならない。
 いずれにしても時代は大きく転換し、想像以上に変わりつつあることを、お互いに確認し、町づくりの基本理念である「明和に住んでよかった」という目標に向かって努力をしたいと考えている。

(広報『群馬自治』平成14年1月号掲載)