自 立 に 向 け て ス タ ー ト
〜『共生』『共創』『協働』の町づくり〜

草津町長 中 澤  敬    

 草津町は群馬県の北西部に位置し、長野県境に接する面積49.7平方キロメートルの高原都市で、市街地は白根山麓の標高1,200メートル付近に源泉『湯畑』を取り囲むように形成されています。
 当町は古くから温泉観光保養地として栄え、泉質主義をモットーとする豊富な温泉は、源泉かけながしの湯として親しまれ、また、四季折々の風光明媚な自然景観は草津温泉の大きな魅力となっており、昨年度は311万人の観光客の皆様においでいただきました。

過去を省みて今後を考え「実行」に移すことが重要
 今、地方自治を取り囲む社会情勢は、今までかつてない変革の時代を迎えていると思います。ここで重要なことは過去を省みて今後を考え、実行に移すことだと思います。最近良く思うこととして、日本の発展、日本経済の成長に伴い国民の豊かさの価値観が「物」・「金」に固執し、「豊かさ」とは、物質的な価値観が先行し、本来であれば「豊かさ」の中には精神的価値観、つまり「心」も同等の価値として存在し、社会を育むものだと感じます。この行き過ぎた「物」・「金」に特化した豊かさの価値観が「個人の自由」という言葉と重なり合い、この本来の意味から離れた解釈で一人歩きし、社会を作る基盤が崩れつつあると思います。
 町の取り組みとして、町民全体の意識に精神的豊かさの価値を取り戻し、高める方向に導くため、草津町民の心の言葉を掲げています。それは草津町町民憲章です。
 「歩み入る者にやすらぎを去りゆく人に幸せを」これは、今は亡き東山魁夷先生に草津町がいただいた言葉であり、私ども観光立町に携わる町の言葉にふさわしい憲章です。そしてこの言葉を町民全体に浸透させていく町民憲章理念実践五原則を設定し「安全」・「清潔」・「親切」・「販売」・「節約」を基本的実践項目として、町民一人一人が心の言葉とし、日々の生活を送れるよう具体的な実践項目として表し、草津町の精神と位置づけ努力しています。
 一方地方の改革は、合併・三位一体の改革の方針が打ち出され、現状においても財政面ではどの自治体も大変な危機にあると思われます。そこでいかに税収を高めるか、いかに行政コストを削減するかが今後の大きな課題であり、どの自治体も大変苦悩していると思います。
 税収入を高める一つの方向として、行政は今まで定住人口について着目していれば良かったのが、これからは交流人口・移動人口にも目を向けることが税収入につながる可能性があると考えます。
 交流人口とは観光振興であり、21世紀の社会の中で重要な要素となり得る可能性が多分に含まれると思います。
 「観光とは国の光を観る。観せる」と政府は発表しています。つまり地域を磨き、輝くことにより、この観光の定義が活かされてくると思います。
 今までの観光の定義よりは、より広義になり、観光とは地域の活性化につながる浮上策と考え、その中に従来型の観光を「観光 観光」と位置づけるなら、今後は「観光 健康」、そして「観光 環境」が広義の意味として加わってくると思います。つまりこの広義の観光からどの地域にも通用する地域の活性化策として観光の重要性が問われています。

100人委員の自由な発想から自立のマスタープラン策定
 草津町では、この3つの要素の観光を、今までやってきた従来の観光に加えてよりいっそう輝く町づくりに努めています。平成17年度の草津町のテーマは「自立のための自律」、合併を時期尚早と判断して宣言した今、自分たちで自分たちの町を作り上げていくというスローガンにこの言葉を掲げています。
 行政と住民が今まで以上にそれぞれの役割を認識した中で、本音で議論を重ね、「共生」共に生活をしながら、「共創」共に創り出し、「協働」協力して働いていくという三つの柱の中から活力が生まれ、自立へ導かれていくと考えます。具体的な施策として自立のためのマスタープランの策定に向けて住民先導型の策定委員会「くさつタウンミーティング100」を立ち上げ、100人の委員により今までにない視点から、また、自由な発想から活発な議論がされています。草津町に住む住民が、今まで以上に豊かな心で安心・安全に暮らせる町づくりが大切と考えます。
 今、官民協力して「自立」に向けたスタートが切られたところです。


(広報『群馬自治』平成17年10月号掲載)