四季のうつろい

みなかみ町 澤浦 厚子

私の通勤時間は、車で約20分。昭和村から沼田市を通りみなかみ町までの10`b余りの道のりですが、利根川沿いを谷川岳に向かい毎朝同じ道を通っています。車を走らせる時間は、ラジオを聞きながら周囲の景色を眺めます。それは、豊かな四季を身近に感じる大切な時間でもあります。
 沿道には、季節によって様々な植物が顔を覗かせます。ニュースの中で、桜の便りが聞かれる頃、ゆっくりゆっくり春がやってきます。モノクロのような世界が、うっすらと早緑になり、日増しに緑が広がっていきます。何年か前、植えられた利根川沿いの枝垂れ桜に、紅い蕾がぽつぽつ付き始めます。あ〜枯れていなかった、とホッとしながら、その成長していく姿を見守っています。いつの日か、そのしなやかな枝にピンクの花びらをいっぱい付けて、風にそよぐ枝垂れ桜の並木となることを楽しみにしています。
 橋を渡るときは、水量を見るのが習慣になっています。特に利根川の水量が気に掛かるのは、上流の水上地区でラフティングが行われているからです。雪解け水が豊かな春から初夏には、今日は、どのあたりまで下れるのだろうか?などと想像しながら川の流れに目をやります。
 真っ白だった谷川岳の山肌に親子馬が現れ、雪解けがすすみます。春の花が次々に咲き、木々の葉が若葉から濃い緑に変わると夏がやってきます。ぐんぐん伸びる朝顔の蔓や朝露に輝く露草。夕べ頑張って咲いていたのだな、と思わせる黄色い花びらを萎ませた待宵草が、真夏の風にゆらゆら揺れています。

 いくつかの台風が過ぎ、朝夕の涼しさを感じる頃、女郎花や萩、ススキ、更に涼しさが増せば、いつの間にか黄色い三角を重ねたような背高泡立草が目に止まります。他の雑草に紛れて黄色い頭をちょこちょこ出している繁殖力旺盛な外来種です。しかし、最近では、その姿にも秋の訪れを感じてしまいます。
 利根川沿いの青々としていた水田もいつの間にか、たわわに実る黄金の色に変わっていきます。風に舞う枯れ葉が気にかかり、澄んだ空気の中で紅葉がすすみます。銀杏の黄色、もみじの赤に代表される鮮やかな落葉樹の紅葉と、それだけではない微妙な色の変化を見せる周囲の山々から秋の深まりを感じます。それがやがて里に来て、遠くの山には初冠雪が見られるようになります。夏の青い谷川岳も清々しくて好きですが、降り積もる真っ白な雪の頂が、冬の日の透きとおるような青空に映える谷川岳が好きです。
 こうして季節は巡り、厳しい季節からまた次の春へと続いていきます。季節は繰り返されても、一日として同じ日はないことを胸に、これからも谷川岳に向かって走る私の通勤は、まだしばらく続きます。
(広報『群馬自治』平成23年10月号掲載)