懐 か し の 頃

長野原町 松本 こづ江

自分が子供だった頃を話すようになると年を取った証拠と、よくいわれているが、最近よく母のことを思いだす。
 私は8人兄弟の末っ子で一番上の姉とは20歳も離れている。もちろん父も母も大正生まれで、同級生の祖父母の年齢と同じくらいだ。自動車の運転は父も母も出来なかったため、出かけるときは徒歩か電車を利用するしかなかった。
 母は山菜採りが好きで、母の妹と3人で川向こうの山によく出かけたものだ。ふきのとうのお焼き、コゴミのい草よごし、タラの芽の天ぷらやゼンマイの煮物、今では高級な食べ物のようだが子供の頃はよく食べた。
 ホトトギスやカッコウの鳴き声を聞きながら、アカシアの花の香りのする山道を1時間ほど歩くと目的地に到着する。にょきにょきと出ているゼンマイやワラビを摘みながら、山の下から上にかけて夢中に登っていったものだ。あの頃の母の年齢には追いついていないけれど、毎日座りっぱなしの私に、今、山歩きをしろと言われたら、とても自信が無い。

 途中には畑や田んぼもあった、もちろん車など入れないため人力で肥料を運んで作物を作っているという話を母達がしていたのを覚えている。昔の人はすごいなと、つくづく感じる。それが健康で元気でいられる秘訣だったのかもしれない。
  あの頃は、友達が親と車で出かける話を聞くとうらやましかった。でも、私のこんな思い出も良かったのかなと、今頃思えるようになった。
 こらから暑い夏がやってきます。人員の削減や制度改正があったりと慌ただしい今日この頃、ストレスもたまることも多いと思います。浅間高原の澄んだ空気や、カッコウの鳴き声で心をいやしてみるのも良いかもしれません。
 ぜひ、長野原町へ出かけてみてはいかがでしょうか。


(広報『群馬自治』平成22年7月号掲載)