高山村  林  和  

「住めば都」ということばがある。出生の地高山村に住んで57年の時が過ぎた。
 高山村は東西に日本ロマンチック街道である国道145号線が走り、南北に旧三国街道が通る。周囲は1,000メートル内外の山々に囲まれ、兼業農家が主体のどこにでもある農山村である。
 明治22年に誕生した高山村は、その後合併もせず120年の歴史を育んできた。
 最近の村の名所と言えば、県立ぐんま天文台、移築されたヨーロッパの古城ロックハート城、日帰り温泉施設ふれあいプラザに代表されるだろうか。他にも牧場やキャンプ場、ゴルフ場、手軽な山登り、男女間の願掛けを受ける添うが森と添わずが森等々遊びや自然に触れる候補は限られた紙面にあふれる。
 高山村にも多くの観光客が訪れ、その恩恵に預かっている部分もある反面、施設の維持管理という面では他の団体と同様苦慮しているのも事実である。
 
これはという産業があるわけでもない。村外から訪れる人に「高山村の産業って何ですか?何で生活を立てて居るんですか」と尋ねられても「はて、何だろう?」と考えてしまうような状況にある。自分の廻りを見ても田んぼを作るわけもなく、畑には草が繁茂し青々としているがその能力は発揮されていない。

 私自身この高山村の地から離れたことがない。お盆や正月に「帰省する」という経験がない。親元を離れ、ふるさとをはなれている人の本当の気持ちは理解できていないかも知れない。でも心の中に残るふるさとへの想いとなっているのは、いつまでも変わらない、いつでも同じように迎えてくれるあの眺め、あの山並み、あの流れなのではないだろうか。
 上毛カルタを訪ね歩くこともままならない中で、まずは村内に残る未だ目にしていない誇れる名所旧跡を巡り、改めて村の歴史や文化にふれてみるのもいいなと考えている。当たり前のように住めば都を共有できることが幸せなのかも知れない。

(広報『群馬自治』平成21年10月号掲載)