「愛妻家の聖地」嬬恋村

 

嬬恋村 久保 宗之

「愛してるよー!」「オレと結婚してくださーい!」
 3年前から嬬恋村で開催している「キャベツ畑の中心で妻に愛を叫ぶ(通称キャベチュー)」で叫ばれた言葉です。
 嬬恋村誌によると、「明治22年(1889年)に発足した「嬬恋」の村名は、全くすなおに日本武尊(やまとたけるのみこと)が碓日坂(今の鳥居峠)におたちになって、なき妻弟橘姫(おとたちばなひめ)を追慕のあまり「あづまはや」とおなげきになって妻をいとしまれたという故事にちなんで名づけられた。と村勢要覧に掲げている。」とされています。
 この村名の由来を活用して、村の活性化につなげられないかと考えていましたが、なかなかいいアイデアが浮かばずにいました。
 平成16年11月に週末に嬬恋村で農業を楽しむグループが、村名の由来と「妻というもっとも身近な赤の他人を大切にする人が増えると、世界はもう少し豊かで平和になるかもしれない。」という理想を掲げ、「日本愛妻家協会」を設立。
 これが村の活性化につながるかもしれないと考え、日本愛妻家協会と連携していくこととなりました。

 発案者である愛妻家協会事務局長の山名清隆さんは、前妻から「あなたは仕事ばかりしていて私を見ていない、話しを聞いていない」と言われたそうです。夫婦の関係に悩み、東京から逃げ出し嬬恋村を訪れ、再生のきっかけをつかんだとのこと。「嬬恋と今の妻のおかげで自分を取り戻し、ゼロから踏み出すことができた」と当時を振り返ります。その後、キャベチューを開催、1月31日を「愛妻の日」と定めたりといろいろな取り組みを実現しています。
 昨年3月には村に「愛妻の丘」という新名所ができました。また、この3月には、いつでも誰でも叫べる、「妻に愛を叫ぶ専用叫び台」が完成。
 男性に限らず、相手に普段はなかなか伝えることができない言葉は誰にでもあるはず。この「愛妻の丘」が、そんな方の背中をそっと押してあげられるような場所になればいいなと思っています。
 最後に、山名さんの言葉を借りて、「今日は妻と食事をするので家に帰ります!」という人が増えると、世界はもう少し豊かで平和になるかもしれない。
(広報『群馬自治』平成21年7月号掲載)