貴 重 な 経 験 

玉村町 関根 聡子

一昨年、フィリピンのルソン島・ミンダナオ島に行ってきました。目的は、戦没者の慰霊巡拝です。私の家族はフィリピンで戦死しているので、いつかは必ず行きたいと思っていたところでした。ミンダナオ島は治安があまりよくないのではと、周囲から反対の声もあったのですが、こんな機会はめったにないと思い、思い切って参加しました。
 ミンダナオ島ダバオ湾での洋上献花など数ヵ所での慰霊式、日本領事館公邸表敬訪問、現地の小学校での交歓会、フィリピン政府観光省表敬訪問など、すべてが普段の私にはありえない貴重な経験でした。「百聞は一見にしかず」と言いますが、聞くのと実際に見るのとでは印象は大違いです。戦争映画などで戦跡を見たことはあったものの、リゾート地とはほど遠い山の中の、草が生い茂った密林を実際に目にしたときの驚き。しかも、訪れた時は気温35度以上の猛暑。熱帯性気侯なのですから当然ですが、このような状況の中で戦っていたなんて、本当に信じられません。

 戦争とは関係ないのにもかかわらず戦場にされ、その結果計り知れない被害を受けたフィリピン。参加者の遺族は、「自分たちの父や兄は、戦争中フィリピンの人たちに大変迷惑をかけた。万分の一でも償いがしたい」という詫びの心から、日比友好親善を図っているのだそうです。
 太平洋戦争が終結して63年。遺族も高齢化し、年々慰霊巡拝者は減っているとのことです。フィリピンでの戦死者は、群馬県内で約6,400人、全国では50万人以上にのぼります。戦争を知らない世代の私ですが、実際に慰霊巡拝を行い、このようなことは二度と繰り返してはいけないと、改めて思いました。
 今年も、人生観が変わるような貴重な経験ができればと思います。このような経験を通して、充実した一年を過ごしたいものです。今年一年が、皆様にとってよい年でありますように。

(広報『群馬自治』平成21年1月号掲載)