人  の  力

千代田町 宗 川  正 樹

地方自治法の改正により、収入役制度が基本的に廃止となった。これは、財務会計システムの普及に伴う事務の効率化が大きな要因となっている。しかし、その一方で機械化の進行による弊害も気になるところだ。パソコンで処理された仕事は間違いないという思いから、仕組みを十分把握することなく仕事が処理されてしまう。時代の流れと言ってしまえばそれまでだが、どうも物足りない感がある。
 さて4月は、新入職員や人事異動など職場の顔ぶれが変わる時期である。私が職場に入った頃を思い出すと、諸先輩からよく注意や指導を受けた記憶が鮮明に残っている。今思うと、未熟な自分に対して親身になってくれた証であり、本当にありがたかったと実感している。しかし、最近の職場ではいわゆる「人材を育てる人」が少なくなっている。人間関係に気を使いすぎているのか、それとも個人優先主義なのかは分からないが、仕事も人間関係も随分とあっさりしてしまった気がする。これも、機械化の弊害なのだろうか。メールばかりではなく、たまには酒でも飲んで本音で語り合った方がいい。人は「お茶で百日、お酒で十日」で仲良くなるらしい。

 サントリーの創業者である鳥井信治郎氏の口癖であった「やってみなはれ」という言葉がある。この台詞は、今もなお全社員の心の中に生き続け、チャレンジ精神を育てる魔法の言葉となっているのだという。「何事も、やってみなければわからない」、挑戦することの楽しさを伝える事が、人を育てる原点なのかもしれない。
 今、時代は大きなうねりの中にあって、社会全体の制度を根本から見直す時期に来ている。行政の基本は何か、もちろん「人」であり、人を育てる力こそ組織には必要であると思う。機械化・情報化が進んでも、人が楽をしては何の意味もない。地方の時代と言われる今日、地域の将来はこの「人の力」によって大きく左右されることは間違いないと確信している。 

(広報『群馬自治』平成19年4月号掲載)