上 海 を 旅 し て

粕 川 村  大 矢  実

今年の年明け、子供と上海を旅行する機会を得た。2泊3日の短い旅だったが、親子で旅行することも今後あまりないだろうと思った。
 飛行機が上海上空に近づいた時、海は茶褐色で最初は陸地かと目を疑った。上海は黄浦江を挟み西岸は旧イギリス租界で旧欧州建築群が立並び、東岸は未来都市を想わせる建物があり、コントラストが素晴らしかった。特に夜間照明でライトアップされた夜景が東西とも妙にマッチしていた。
 1日目、2日目と夕食後、子供と連れ立って外灘へ足を運んだ。そこでは、日本では想像できない程のたくさんの中国人が夜を楽しんでいたが、印象として空気があまりよくなく、どんよりと曇った状態だった。私たちのホテルは旧租界のイギリス建築のホテルであり、食事はいつもホテル内のレストランで摂り、そこからは外灘の東岸にある未来都市のシンボルであるタワーが見えた。私たちはガイドをつけなかったため、自分達で地図を調べ、地下鉄を探し、ほとんど全てのスケジュールを立て行動した。見たいところがたくさんあり、欲張ったため、1日が終わると足が棒の状態であったが不思議と充実感があった。

 新天地はフランス租界の建物を修復、復元して造られたお酒落で活気に満ちた街であったが、その一角に「中国共産党第1回大会記念館」があり、対照的な雰囲気があった。共産主義から自由主義に移行して間もない国であることを改めて感じた。日本語はもとより英語も通じないことに国交樹立から日が浅いことを思った。明代に造園された「豫園」は江南を代表する中国式庭園であり、楼閣や池、渓流、庭などが配され多彩な景観に深く感銘を受け、歴史の深さを感じた。
 行き交う多くの人々の様子は日本の戦後間もない時の活気に満ちた様と酷似しているように思え、今の日本に見られないエネルギーで満ち溢れていた。生活水準などは、まだまだ日本の比ではないが、これから発展していく要素を多分に含んでおり、将来的にこの国と関わっていくことが多くなることだろう。
 短い滞在ではあったが、衝撃的な印象を多く受けた。私の年齢で訪れるのもいいが、感性豊かな年代の人が訪れ、実際に体験して欲しい。国際的協調がこれから必要な時代になってくるのだから。

(広報『群馬自治』平成16年4月号掲載)