里 山 活 性 化

勢 多 郡 東 村   神 山   登

終戦直後に植林された人工林が伐期を迎えているが、現状では材として切り出す林家はほとんどない。人工林は杉と檜、松が多く、荒れて鬱蒼とした山林は新たな生物を寄せ付けず、特に檜林などは植物さえ生えることを許さない。
 最近、奥多摩方面に研修にでた。「里山の活性化」に興味を持ち、昨年に続き二度目の訪問である。
 人間の手で造り上げられた里山は、経済活動の中で生態系を変え、メリットがなくなると今度は放置されてきた。
 「多摩炭やきの会」は、荒れた山を生き返らせようと立ち上がった。素人の炭やきやさんが、ドラム缶で炭焼き窯を作り、焼き方の講習を受けて他人の山に入り間伐・除伐を始めた。
 鬱蒼とした竹林・杉林にドラム缶炭焼き窯を設置し、週末に間伐や除伐をして炭を焼き保育園の子供と父兄が町に出て販売し活動費に充てているという。
 炭焼きをはじめて数ヵ月で、薄暗かった土地に光が当たり新しい植物が生えてきた。2年後には、数10年も水がかれていた水元から以前のように水が湧き出てきた。たった2年間の努力で自然が取り戻されたと「多摩炭やきの会」のメンバーは喜んでいた。

 私は、その活動を聞きながら東村へ思いをはせた。東村は首都圏の水がめであり有数の動植物の宝庫でもある。
 人間の手によって乱開発され、住む場所を失った動物たちは農林産物を食い荒らしている。奥山に実の成る木や草花を育成することは時間のかかることだが、すぐ始めなくてはならないと痛感した。

 夢見る大人たちの集団、「多摩炭やきの会」は、昔、山に薪を求めて暖をとり、昆虫や草花を求めて散策した。そんな昔のすばらしい経験や自然のすばらしさを後世に残していこうと考えたのではないか、と推測する。
(広報『群馬自治』平成11年10月号掲載)