群馬県町村会長 針ヶ谷 照 夫 

 

新年あけましておめでとうございます。

皆様方にはそれぞれ明るい新年をお迎えのこととお喜びを申し上げます。

昨年7月に行われた参議院議員選挙で、自民党は歴史的敗北を喫しましたが、その要因の一つとして、地方の反乱という言葉が使われました。確かに一部大都市と地方との格差が広がり、その悲鳴のようなものが今回の選挙で表れたと言えるかもしれません。

幸い群馬県から4人目の総理大臣として就任された福田康夫首相は、就任後初の所信表明演説で「地方再生への構造改革を進めていく」と宣言。新政権の最重要課題として位置づけをされ期待が高まっております。

私も基本的に、地方が衰退すれば何れは国も衰退する。地方に活力が生まれれば何れは国も元気になる、発展に繋がると信じております。それだけ地方は重要な役割を担っているからです。

昨年九月、関東地方を直撃した台風9号により、群馬県でも西毛地区において大きな被害が発生しました。予想以上の雨量もさることながら、一部では山の荒廃が被害を大きくしたと言われています。逆に考えれば災害の多い日本列島といえども、山がしっかりと守られていれば、その被害も最小限に留めることができると思います。

さらに森林は、人間が生きて行くうえで最も大切な水の涵養、供給をしてくれます。我が国では水は豊富にあると思われがちですが、そうでもないような気がいたします。

総合地球環境学研究所 沖大幹氏の試算によると、例えば小麦粉1sを作るのに必要な水は1,000倍の1トンということであり、我が国が輸入している農畜産物等の間接水、すなわち水に換算すると実に744億トンの水を輸入していることになるそうです。これは我が国で使われている農業、工業、生活用水の総量878億トンの85%、これに大量の木材を加えるとどれ程になるのか、万が一、農畜産物の輸入がストップし、自給することとなった場合、本当に我が国の水は足りるのか心配です。

昨年夏、私の町でかつて舟運で活躍した高瀬舟を建造し、試運をしたところ、あの広い利根川の水位の大部分が膝下位しかなく、満足に運航できない状態で、利根川の水が大幅に減少していることを改めて思い知らされました。

その他、地球温暖化防止のための温室効果ガスの排出削減や安らぎ、景観等、森林の果たす役割は大きなものがあります。その地方の農山村では限界集落という言葉まで使われるようになりました。このまま地方が衰退することになった場合、日本の未来が心配です。地方の努力だけでは済まされない状態になってきているような気がいたします。

折しも今、第二期地方分権改革、第29次の地方制度調査会、道州制の議論が行われています。この際、国も地方も一緒になって、この国のあるべき姿、そして国の役割、地方の役割を見出す時であると考えますし、群馬県町村会もその一翼を担えればと願っております。

 本年がそれぞれの町村にとって良い年になりますよう念願し、新年のご挨拶とさせていただきます。